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2017/09/01 「小石川の家」

投稿者: 小林智美 カテゴリー: 雑記 
「小石川の家」(青木玉 著)を読みました。10年ほど前に読んだのですが
久しぶりに読み返したくなりページをめくりました。
青木玉さんは、明治の文筆家、幸田露伴のお孫さん。露伴の娘さんである
幸田文さん(やはり文筆家)の娘さんです。
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「小石川の家」は20年ほど前にテレビドラマをみて、
(幸田露伴を森繁久彌氏が演じ、幸田文さんを田中裕子さんが演じておりました。)
文さんのたたずまいが印象的で随筆に興味をもったのでした。

幸田文さんは幼い時に生母をなくしたのですが、露伴の後妻さんとそりが合わず
家事や生活全般の知識を父露伴から教わったそうです。
成長して結婚後離婚、娘さんの玉さんを連れ露伴の元に戻り生活し
文さんと玉さんは露伴を支えます。
玉さんの視点での幸田家のしつけや当時の暮らしぶりが記されています。
「愚かさ」を嫌う露伴にかなり厳しく対応されても
ふたりともへこたれない。
当時はそれは普通のことだったのか…、その精神(こころ)の強さに感心してしまいます。

書店で文さんの本の背表紙をみて
「こちらは歳を重ねてから読もう。」とわりと最近になってよみましたが、
若い時に出会って頭の柔らかいうちに読むべきだったと。

「母の手は白く手の甲に気持ちよく脂がのっている。
あまり大きくはないが握力は強く、力のあるよく動く役にたつ手だ。
それが病んで肉が落ちていた。
右手はお父さんに奉った働く手、
左はおっかさんから貰った優しい手
と、互いの手を交互にくるむようにして撫で合わせ
いとしんで言うことがあった。」
…のくだりに、目頭が熱くなりました。